今回の記事は「IF関数で複数の条件を指定する方法」について紹介します。
成績に合わせて合格などの評価を始め、IF関数を使用することで、条件に一致した場合、一致しなかった場合の処理を指定することができ、ビジネスでも利用することが多いです。
IF関数が使えるとかなり出来る事の幅が広がりますが、IF関数の基本的な使い方を習得したら、複数条件の指定方法も習得しておくのがオススメです。
初心者の方にもわかりやすく説明していますので、ぜひ参考になさってください。
IF関数やその 他の便利な関数については下記の記事をご覧ください。
Excel(エクセル)|IF関数の使い方を基礎から応用まで徹底解説
Excel(エクセル)でIF関数とOR関数を組み合わせて使う方法
エクセルIF関数|「空白」を使って計算式を作る方法 |動画解説付き
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IF関数で複数条件の指定はできる?
IF関数と言えば、
もし〇〇だったら△△にして、そうじゃなかったら◇◇にしてね
という関数で、「この条件に合えば△△、合わなければ◇◇」とこの状態では1つの条件に合うかどうかで判断して結果を求めることになります。
しかし、IF関数の中にIF関数を入れ子(ネスト)することで、複数の条件を指定することが可能です。
指定する条件は、比較演算子「=」「<>」「>」「<」「>=」「<=」を使い、「等しい・等しくない」「より大きい・より小さい(未満)」「以上・以下」という条件をし数値や文字列に対して指定することができるため、覚えておくと役立ちます。
IF関数の基本的な使い方はこちら
IF関数は設定された条件に対しセルの値がTRUE(真)かFALSE(偽)かを判定し、その判定結果に応じた値を返す関数です。
IF関数の構文
=IF (論理式, 真の場合, 偽の場合)
IF関数の構文はこのようになっています。
論理式 | 条件 |
真の場合 | 条件と一致したときに返す値 |
偽の場合 | 条件と一致しなかったときに返す値 |
それぞれの引数の内容はこのような感じになります。
具体例を見てみましょう。
以下の表はある会社の研修テスト結果です。テスト結果が80点以下の人には「補習有無」欄に「補習」と表示します。
まず、表の先頭E3セルを選択し、D3の値が80点以上の場合は空白、80点より低い場合は「補習」と表示されるようにIF関数を使った式を書きます。
=IF(D3>=80,””,"補習")
※関数の中で文字列を扱うときはダブルクオーテーション(“)で文字列を囲う必要があります。
ちなみに””のようにダブルクオーテーションの中に何も入力しないことで「空白」を表現することができます。
残りのセルにオートフィルで関数を入力すると、すべての従業員の補習判定結果が表示されます。
今回は、真の場合を空欄としましたが、例えば、80点以上は合格、そうでなければ不合格といった指定も可能です。
ポイントは、文字列はダブルクォーテーションで囲む、空欄を指定する場合はダブルクォーテーションを2つ入力するという点です。
IF関数で2つの複数条件を設定する
IF関数で2つの複数条件を設定する方法
では条件を複数にして「80点以上は空白、60点以上は「要勉強」、60点より低い場合は「補習」」と表示するようにしてみましょう。
表の先頭のセルE3を選択し、以下のような式を書きます。
★IF関数:=IF(論理式 , 真の場合 , 偽の場合)
=IF(D3>=80,"",IF(D3>=60,"要勉強","補習"))
=もしセルD3が80以上だったら空欄にして、そうじゃなくてセルD3が60以上だったら要勉強、そうじゃなければ補習にしてね
といった感じです。
つまり、まず点数が入力されたD3のセルが80以上かどうかを判定し、判定が真の場合は””(空白)を表示します。
「偽の場合に返す値」の場所にはIF関数が書かれています。ここで「D3が60以上かどうか」をさらに判定しているのです。
もし60以上なら「要勉強」、60より点数が低ければ「補習」と表示されます。
IF関数の中にIF関数を入れ子(ネスト)にすることで、複数条件を判定することが可能になりました。
残りの欄にオートフィルで関数を入力すると、IF関数ですべての従業員の判定ができます。
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2つの複数条件、優先順位はこうなる
上の例で分かる通り、IF関数では最初に設定した条件が優先されます。
つまり、最初に「80点以上かどうか?」が判定され、この条件が満たされた場合は空白を表示し、次の「60点以上かどうか?」という判定は行われません。
80点より点数の低かったセルだけが、60点以上かどうかの判定(2番目のIF関数)に進むのです。
IF関数で複数条件を使う場合は、先に優先度の高いものから記入していくのがポイントです。
IF関数で3つの複数条件を設定する
IF関数で3つの複数条件を設定する方法
では条件をもう1つ増やして「80点以上は空白、70点以上は「要勉強」、60点以上は「補習」、60点より低い場合は「再テスト」」と表示するようにしてみましょう。
条件が3つになった場合も、IF関数を入れ子にすることで対処できます。
表の先頭のセルE3を選択し、以下のような式を書き、オートフィルで数式を最後の行までコピーします。
=IF(D3>=80,"",IF(D3>=70,"要勉強",IF(D3>=60,"補習","再テスト")))
式の意味はこうです。まず、点数が表示されたD3が80点以上なら空白を表示します。
80点より低い場合、次のIF関数で70点以上かどうかを判定。さらにD3が70点より低ければ3番目のIFで条件判定をするという流れになっています。
3つの条件、優先順位はこうなる
3つの条件の優先順位は2つの条件の場合と同じく、最初に書いたものから行われます。
この例ではまず80点以上かどうか、を最優先で判定します。
この条件に外れたセル、つまり80点より低い点数のものが次のIF関数に進み、70点以上かどうか判定されます。
さらに70点より低い点数のものが3番目のIF関数に進み、最後の判定をされるというわけです。
IF関数で4つ以上の複数条件を扱う場合
上記の例のようにIF関数を入れ子構造にし続ければ、4つ以上の条件を設定することもできます。
しかし、入れ子構造が複雑になればなるほど、今どのような式を書いているのか自分で分からなくなってしまうでしょう。
実は簡単に複数条件を設定できるIFS関数というものもあります。
IFS関数の文法構造はこうです。
=IFS(条件1,値が真の場合に返す値1,条件2,値が真の場合に返す値2,…)
先に出た3つの複数条件の例をIFS関数で書き換えてみましょう。
=IF(D3>=80,"",IF(D3>=70,"要勉強",IF(D3>=60,"補習","再テスト")))
=IFS(D3>=80,"",D3>=70,"要勉強",D3>=60,"補習",D3<60,"再テスト")
IFS関数では先頭から優先的に条件をあてはめ、最初に真になった値が返ります。(IFS関数には偽の設定がありません。そのためIFS関数の最後にD3が60点より低くなった場合の返り値を付け加えています)。
IFS関数を使った方が見た目がすっきりして分かりやすい構造になりました。
ただしIFS関数はExcel 2013以前のバージョンでは使えないので注意してください。
IFS関数はExcel 2016以降(2016,2019,2021)、Microsoft 365に対応していますので、複数の条件を指定する場合はこちらがおすすめです。
IFS関数の使い方については、下記の記事で解説していますので、ご覧ください。
Excel(エクセル)|IFS関数|簡単に複数条件を設定できる
IF関数【応用編】 AND・ORの組み合わせ
IF関数でAND複数条件を使う
上では複数条件ごとに分岐していくIF関数の例を紹介しました。
しかし更にシンプルに「AかつBかつCの場合」とAND条件を設定したい場合もあるでしょう。
そんな時はAND関数の出番です。
例えば今回の研修テストは営業部に関わるものだったので、営業部で点数が低い人だけ補習を実施するとします。
以下の名簿で「営業部かつテスト80点以下」の場合「補習」、それ以外の場合は空白を表示してみましょう。
補習判定先頭のF3を選択し、以下のように入力します。
=IF(AND(E3="営業部",D3<=80),"補習","")
あとはオートフィルで表の最後の行までコピーすれば、営業部で80点以下の人がだれかすぐに分かります。
IF関数でOR複数条件を使う
AND関数に対し、「AもしくはBもしくはC」の条件が設定できるOR関数もあります。
今回の研修テストは開発部には内容が関係なく、また再雇用者60歳以上の補習は免除したいとします。
そこで「開発部もしくはテスト80点以上もしくは60歳以上」の場合「補習免除」、それ以外の場合は「補習」と表示してみましょう。
補習判定先頭のF3を選択し、以下のように入力します。
=IF(OR(E3="開発部",D3>=80,C3>=60),"補習免除","補習")
オートフィルでコピーすると、補習免除になる人と補習になる人が表示されました。
IF関数の中にIF関数を入れ子構造にすることで複数条件判定をすることができます。
また、IFS関数やAND関数、OR関数を使うことで複雑な条件設定をシンプルに表すことができます。
判断したい条件によってそれぞれの関数を使い分けることをお勧めします。
IF関数で複数条件の使い方まとめ
Excel(エクセル)でIF関数を組み合わせることで、IF関数の中にIF関数を使って2つの条件を使うことができました。
Excel(エクセル)関数の中に、さらに関数を入れ子のように使うことを「ネスト」といいますが、IF関数以外にも「AND関数(かつ)」や「OR関数(または)」を使うことで、条件を選択して振り分けることができます。
IF関数を複数使うとカッコが増えてしまい、分かりにくいといった問題がありましたが、Excel2016から追加された『IFS関数』を使うことで解消できますね。
今回は様々なパターンをご紹介しましたが、まずは簡単なところから使って覚えていきましょう。
1つ1つの関数を使いこなすことができれば、ネストも使いこなすことができますよ。
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