「IFS関数って便利そうだけど、どうやって使えばいいのかわからない」「条件がたくさんあると、どの書き方が正しいのか混乱してしまう」そんな悩みを感じたことはありませんか？
特にExcelの関数が苦手な方にとっては、「条件分岐」や「複数のパターンを振り分ける」作業は、難しさを感じやすいポイントです。
さらに、「〇〇を含むときだけこの処理をしたい」といったあいまいな条件を扱いたい場面では、どう書けばいいか困ってしまうことも。
そんなときに便利なのが「ワイルドカード」です。
これをうまく使えば、条件の指定が柔軟になり、細かいデータ分類や自動処理が一気にスムーズになります。
そこで今回の記事では、IFS関数とワイルドカードの基本から、他の関数と組み合わせて使う実用的な方法まで、わかりやすく紹介します。
ぜひ参考になさってください。
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IFS関数とワイルドカードの基本知識
IFS関数とは？
IFS関数は、「いくつかの条件を指定した条件の順番にチェックして、その条件に合った結果を表示する」ための関数です。
「条件Aに一致したら〇〇、条件Bに一致したら△△、どの条件にも当てはまらなかった場合は□□」といった判断をしたいときに使います。
たとえば、テストの点数に応じて「優」「良」「可」「不可」などと表示したいときに便利です。
IF関数で入力しようとした場合、条件が増えると関数のネスト（入れ子）も増えてしまいますが、IFS関数を使うことで、たくさん条件があっても、見やすく・わかりやすく書くことができます。
■対応バージョンについて
IFS関数は Excel 2016以降（またはMicrosoft 365 / Office 365） で使える関数です。
それ以前のExcel（2013や2010など）ではIFS関数は使えません。
IFS関数の構文
IFS関数の構文は「=IFS (論理式1, 真の場合1, 論理式2, 真の場合2, ...,)」となっています。
論理式は「条件」、真の場合は「条件を満たしたときの結果」という内容になっています。
- 論理式1：最初に調べたいこと（例：「A1=100」など）
- 真の場合1：論理式1に一致したときに表示される内容
- 論理式2、真の場合2：論理式1が一致しなかったときに、次に調べる条件と結果
これを必要な回数だけ繰り返して使います。
ワイルドカードの種類と役割
ワイルドカードとは、文字列をあいまいに検索するための「特別な記号」のことです。
IFS関数に限らず、IF関数やCOUNTIF関数、VLOOKUP関数などでも使えます。
よく使うワイルドカードは2つ！
- *（アスタリスク）
- ?（クエスチョン）
| ワイルドカード | 意味 | 例（"小*"）（"小?"） |
| *（アスタリスク） | 0文字以上の「なんでもOK」な文字 | 「小」で始まるすべて（小森、小田原、小笠原など） |
| ?（クエスチョン） | ?の個数＝文字数で「なんでもOK」な文字 | 「小?」→小川、小田、小島 など文字数が合うもの |
※「？」は1つにつき任意の1文字となります。
「小??」とすれば、「小野田」といった文字数が合うものが対象になります。
ワイルドカードが使える場面
たとえば、「商品名が“りんご”から始まるデータを探す」といったときに役立ちます。
「=IF(A1="りんご*", "りんご系商品", "その他")」…と入力したいところですが、実は =IF(A1="りんご*", …) のような使い方はワイルドカードとしては機能しません。
正しくは「COUNTIF関数」や「SEARCH関数」などと組み合わせる必要があります。
IFS関数でワイルドカードを使う方法
IFS関数の中で「ワイルドカード（＊や？）」を使いたいと思っても、実はそのままでは思ったように動いてくれません。
結論で言うと、「COUNTIF関数」など他の関数と組み合わせて初めてIFS関数で使うことができます。
なぜワイルドカード単体でIFS関数に使うことができないのか
IFS関数では、条件に「＝（イコール）」や「＞」「＜」といった比較を使いますが、例えば以下のように書いても、ワイルドカードは正しく認識されません。
ワイルドカードが使えない入力例：
=IFS(A1="りんご*", "りんご系", A1="みかん*", "みかん系")
この式では、「セル【A1】が“りんご”で始まる文字」のつもりで「りんご*」と書いていますが、IFS関数はこれを文字列そのもの（りんご*）として扱ってしまうため、うまく条件に一致しないのです。
つまり、IFS関数ではワイルドカードのようなあいまい検索は直接できないということです。
COUNTIF関数の解説
COUNTIF関数は、指定した範囲の中に「条件に当てはまるものがいくつあるか」を数える関数です。
COUNTIF関数の構文は、「=COUNTIF(範囲, 条件)」このようになっています。
たとえば、「=COUNTIF(A1, "りんご*")」と入力すると、セル【A1】の内容が「りんご」で始まっていれば、1 を返し、一致していなければ、0 を返します。
ここでのポイントは、COUNTIF関数はワイルドカードが使えるということです。
これをうまく使えば、IFS関数の中で「りんごで始まるかどうか」といった条件を作れるようになります。
IFS関数とCOUNTIF関数を組み合わせてワイルドカードを使う方法
IFS関数でワイルドカードを使う場合は、COUNTIF関数で「条件に当てはまるかどうか（1か0）」を判断し、その結果をIFS関数の条件に組み込みます。
下記の例を見てみましょう。
セルに入力された商品名に応じて、分類を「りんご系」「みかん系」「その他」に分けて表示します。
今回は、「りんご」で始まる場合は「りんご系」、「みかん」で始まる場合は「みかん系」、それ以外は「その他」と表示します。
最初のセルに「=IFS(COUNTIF(A2,"りんご*")=1,"りんご系",COUNTIF(A2,"みかん*")=1,"みかん系",TRUE,"その他")」となるように入力し、「Enter」を押して確定します。
数式の結果をオートフィルで下のセルにもコピーすれば、各セルのデータに応じて、分類を分けて表示することができます。
「COUNTIF(A2,"りんご*")=1」の「=1」は省略可能
前述した解説では、関数の仕組みをわかりやすくするために「COUNTIF(A2,"りんご*")=1」となるように、「=1」を入力したパターンで紹介しましたが、「=1」は下記のように省略することが可能です。
この方法でも、各セルのデータを判断して、結果を分けることができます。
このように、IFS関数だけではワイルドカードは使えませんが、COUNTIF関数と組み合わせれば「～で始まる」などの条件を実現することができます。
ワイルドカードの応用とその他の関数
IFS関数とワイルドカードの組み合わせは文字列に対してよく使われますが、日付や数字にも使えたら便利だと思いませんか？
ここでは、ワイルドカードを「日付や数値に対して使う工夫」と、他の関数を組み合わせた応用例を紹介します。
日付や数字に対するワイルドカードの使用
結論から言うと、ワイルドカード（＊や？）は文字列に対してしか使えません。
つまり、日付や数値などの「数字として扱われるデータ」には、そのままでは使えないんです。
今回紹介する方法は一例ですが、日付など数値を文字列として扱えばワイルドカードは使うことができます。
たとえば、日付「2025/04/01」が入ったセルを文字列に変換すれば、「2025*」といった条件で年ごとの分類も可能になります。
下記の例を見てみましょう。
C列にA列の日付が2025年の1月なら「1月分」、2025年の4月なら「4月分」、いずれの条件にも一致しない場合は「その他」と表示します。
まず、日付はシリアル値という数値で管理されているため、このままではワイルドカードの指定ができません。
そのため、TEXT関数で、A列の日付（シリアル値）を文字列に変換します。
TEXT関数の構文は、「=TEXT(値 , 表示形式)」となっています。
引数「値」には、表示形式を設定したい値が入り、「表示形式」には引数「値」で指定した値に設定したい表示形式を指定します。
TEXT関数で表示形式を指定する場合は、設定したい表示形式をダブルクォーテーションで囲む必要があります。
今回は、セル【B1】に「=TEXT(A2,"yyyy/mm")」となるように入力します。
※「yyyy」は年表示を西暦、「mm」は月を2桁表示で指定しています。
TEXT関数の結果をオートフィルで下のセルにもコピーすれば、A列の日付を文字列としてそれぞれ表示することができます。
次に、C列の最初の行に「=IFS(COUNTIF(B2,"2025/01*"),"1月分",COUNTIF(B2,"2025/04*"),"4月分",TRUE,"その他")」となるように入力します。
IFS関数の結果を下のセルにもコピーすれば、日付が2025年の1月なら「1月分」、2025年の4月なら「4月分」、いずれの条件にも一致しない場合は「その他」と結果を表示することができます。
このように、日付を TEXT 関数で「年＋月」や「年」などの文字列に変換すれば、そこにワイルドカードを使うことができます。
IFS関数とワイルドカードを使いこなして、実務の効率アップ！
IFS関数は、複数の条件に応じて結果を切り替える便利な関数です。
たとえば「セルの内容に“りんご”が含まれていたら“りんご系”と表示」といった判断が、ひとつの数式でスッキリ書けます。
そして、ワイルドカード（* や ?）を組み合わせることで、あいまいな条件にも対応できるようになります。
ただし、ワイルドカードは「文字列」にしか使えないという特徴があります。
たとえば数値や日付に直接ワイルドカードを使っても思うように動かないことがあるので、そういった場合は他の関数と組み合わせることで解決できます。
また、IFS関数の中でワイルドカードを使いたいときには、COUNTIF関数と組み合わせるのがコツです。
COUNTIF関数は、ワイルドカードによる部分一致を判断できる関数なので、「A1に“りんご”が含まれていたら…」といった条件が簡単に書けます。
このように、ワイルドカードの使い方や注意点、IFS関数との組み合わせ方を理解しておくことで、実務の中でも「条件ごとの自動判別」や「データの分類」がグッと楽になり、複雑な作業を自動化したり、間違いを減らしたりするうえで、非常に役立ちます。
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